お母さんは本を読む時間がない

”ははがよむ” あおきともこのブログ

10.新しい試みの数々と書店開催

いろいろな企画が生まれた

 

「おかあさん、ちょっと本読んでいいよ」がある程度リズミカルに進む中、ははがよむ からはいくつかの 新しい試みが生まれていった。

 

年1回行おうと決めた交流イベントでは、わらべうたをきっかけにご縁を得た坂野知恵さん、長谷川ひろみさんをゲストに、「子育て中のわたしの時間 種まきのとき」を開催。「ちょっと本」の参加者をはじめ、託児を利用したことのない親子や単身で参加される方も集まった。

温かく染み込む坂野さん、長谷川さんのわらべうたライブとともに、お二人が子育て中に考えたり興味を持ったりしたこと(=種)が、現在の活動につながったという話を聞いた。

 

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翌年はピアニスト安保美希さんの演奏と、「そのまんま」代表、フリーアナウンサーの大西友子さんによる朗読で、「おかあさんがゆっくりできるすてきな時間 ~ピアノと味わう童話の世界」を開催。

アンデルセンの作品がピアノ演奏で深みを増し、公民館の視聴覚室ごと北欧の国々へ旅したような、まさに「すてきな時間」を味わった。

 

おかあさんやそれ以外の方が、「自分のための時間」を持つことができて、なおかつ子どもも一緒に楽しめるように考えた企画は、小規模とはいえ広い範囲からお客様を迎えることができた。

 

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交流イベント以外にも、「異世代交流の会でわらべうたの時間をお願いしたい」と依頼があったり、お店や地域のイベントで読み聞かせをしたりと、ははがよむ の名前はちょこちょこ地域で登場するようになった。

イベントでアンデルセンの童話を読んでいただいた大西さんは、子どもではなくおかあさんに向けた読み聞かせ「ははによむ」を考案してくれた。普段、自分が子どもにする読み聞かせとは全く異なる体験で、おかあさんたちは、まっすぐに届く大西さんのことばに、身じろぎもせずに聴き入っていた。

 

ははがよむ チームのメンバーが外で活躍の場を広げていくのはとても嬉しいことだった。そもそも素晴らしい得意を持つ方たちだから、言わば当然の活躍で、そこに ははがよむ の名前をくっつけてもらえるなんて、本当にありがたいことだと思う。

 

 

書店で私たちにできることとは

 

「ちょっと本」が軌道に乗りメンバーの活動も広がる中、私がもう一つこだわっていたのは、書店との取り組みだったが、これは簡単ではなかった。

 

子どもがまだ小さいころ、書店で自分の本が見られないのは図書館の比ではなかった。新しい本、音の出る本、カラフルなテーブルやいす、時にはおもちゃ。コーナー全体が「おいで、おいで」と手招きしているのだから、子どもは書店の子どもコーナーが大好き。だからこそ、それ以外には付き合ってくれないし、だからといって「じゃあ、ちょっとここにいてね」と置いて行くわけにもいかない。

 

「すぐそこに気になっている本があるのに。チラッと見て、買うかどうか考えたいだけなんだけどなあ。ちょっと見比べられたら買うところを、あきらめてるんだから、これって売上の機会損失でしょ?」

 

子どもをちょっとの間見ていてくれるようなサービスがあった方が良いと思えたが、その方法が思いつかない。子どもの本のコーナーで子どもを見守るのは、安全性からも他のお客さんとの区分けからも難しそうだし、託児スペースを新たに作るなんて、研修時にお世話になった店のバックヤードを思い出すだけでも、到底叶いそうにない。

 

それでもとにかく、書店さんにこのニーズを知っていただきたかったので、手始めに子どもの対象年齢を少し上に上げて、ワークショップの開催を考えた。ワークショップの間、おかあさん(親)は店内で自由に過ごせるという企画だ。

 

比較的近隣の書店さんに企画書を持参して話を聞いていただくと、こちらで考えていた店舗ではなく、カフェ併設型の別店舗での開催はどうか、と言っていただけた。しかも、おかあさんには参加料金内でカフェドリンクも付けてくれるという。

宣伝や当日の受付、運営などはすべて ははがよむ が行い、お店にはスペースの確保やセッティングの協力などをお願いすることになった。

 

こうして開催したのが「ははがよむ が提唱する読書の時間Special おかあさん、ちょっと本読んできていいよ。」 だった。ワークショップではhahanoteのお二人にアロマの香りをひと吹きした革製の栞づくりをしていただいた。いま見返しても美しくて楽しい時間で、その様子を見て興味を示すお客さんもいた。

 

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とはいうものの、宣伝が足りなかったのか、場所柄的なニーズの違いなのか、参加者は少なかった。書店さんの日々の業務の多さ、忙しさを知っているのでこれ以上のお願いもしづらく、「またやりましょう!」というほどの雰囲気を作り出すこともできず、残念ながらこの試みは一回で終わった。

 

だがしかし、書店でのチャレンジは、実はまだあきらめていない。託児スペースがなくても、子どもの遊び場をぐるっと囲む形の什器兼カウンターテーブルを採用した店舗を見つけた時には、興奮した。

 

私たちにもできる工夫があるはずだから、考え続けよう。